2026年のグローバル不動産投資展望レポート、アジア太平洋版を発表
~ アジア太平洋地域は変化に適応し投資機会を追求する新時代に ~
報道関係各位
2025年12月4日
ラサール不動産投資顧問株式会社
| この資料は、ラサール インベストメント マネージメント(米国)が 2025年12月10日に発表した 英語のプレスリリースを基に、ラサール不動産投資顧問が日本語に翻訳・編集したものです |
ラサールはISAの中で、貿易、人口動態、インフレに関するこれまでの前提がより複雑な展開へと移行する中で、アジア太平洋地域の不動産投資家は、グローバルな市場シナリオにおいて新たな局面を迎えようとしている、と分析しています。
ISAにおいては、不動産サイクルが次に迎えるステージを、単なる続編ではなく、新たな物語として捉えています。世界の不動産市場では、価格調整の進展、債券市場の安定化、新規供給の抑制を背景に、賃料上昇と投資モメンタム回復への条件が整いつつあります。2025年に垣間見えた明るい兆しは期待外れの結果に終わったかもしれませんが、ラサールは2026年は、見慣れたシナリオを繰り返すのではなく、新しいストーリーが始まる年と位置づけています。その中で、アジア太平洋地域は回復の序章を率いる主役として舞台に躍り出るでしょう。
米ハリウッドの名作映画を引用すると、アジア太平洋地域の投資環境はまるで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で描かれた“未知への冒険”のように変化しています。保護主義の台頭、成長の多極化、そして構造的変化が進む中で、投資家は未踏の道を自ら切り開く姿勢が求められています。
アジア太平洋地域の短期的なGDP成長率は、底堅い輸出と消費に支えられ、物価高が長引く中でも当初の予想を上回っています。構造的・循環的な変化の度合いは国によって異なりますが、貿易への逆風の中でも、各国の財政政策は重要な緩衝材として機能しています。今後の政策余地は、各国政府の財政力、政治的裁量、そして政策介入への積極性に左右されるでしょう。
投資家は、各市場が独自の力学で動いていることを理解した上で、セクター別の固定的な分類にとらわれず、地域ごとのファンダメンタルズを紐解いていく、いわば、映画『インターステラー』の”探索の旅”を進めるような姿勢が求められます。アジア太平洋地域の不動産市場は、もはや通り一遍の筋書きが当てはめられる時代を脱し、より綿密な知見に基づく柔軟な戦略が求められる時代へと向かっています。オフィス、物流施設、住宅といった各セクターは、それぞれ需要、供給、規制という独自の要因によって形成され、異なる市場原理に従って動いています。建設コストが上昇し、資金調達が厳しさを増す中、成功の鍵を握るのは変化に対する高い適応力です。
アジア太平洋地域投資戦略・リサーチグループの共同責任者であるエドアルド・ゴラブは次のように述べています。
「アジア太平洋地域の不動産市場は、これまでの見慣れた筋書きから抜け出して進化を始めています。貿易政策の動向、多様化する人口動態、財政の適応力は、既存のレッテルでは捉えられない投資環境を生み出しています。これは単に新たなサイクルの始まりではなく、地域に即した知見から精緻かつ柔軟な分析を行い、それに基づいて信念ある行動を取れるか否かが成否を分ける、新しいサイクルの始まりを意味しています。」
本レポートでは、アジア太平洋地域全体の見通しを形作る重要なテーマとして、次の6つを挙げています。
• 貿易連携の再構築:サプライチェーンは関税ショックのリスクを軽減するために地域統合を深化
• 供給の抑制:建築コストと資金調達コストの上昇により、新規投資の抑制が継続
• 底堅い住宅部門:必要不可欠なニーズに基づく住宅需要により、賃料は物価上昇を上回る推移
• オフィス市場のファンダメンタルズ改善:東京とソウルは依然として堅調で、オーストラリアにも回復の兆し
• 日本にインバウンドの追い風: 力強い観光産業と円安がホテルセクターを後押し
• 不安定な流動性:取引の回復は未だに限定的で、柔軟な資本運用の重要性が高まる
長年にわたるデフレから脱却した日本は、インフレ・成長志向へと変貌した市場として存在感を高めています。アジア太平洋地域投資戦略・リサーチグループの共同責任者である佐久間誠は次のように述べています。
「日本のデフレ脱却は、経済成長と所得拡大が実物資産にどのように反映されるかという根本的な変化を象徴しています。投資機会は、一時的な価格変動ではなく長期的な構造変化の中にあります。デフレからインフレへと移行する中で、賃料設定の見直し、積極的な運用手法の導入、そして実体経済の成長に合わせた不動産価格の再評価などが鍵となります。いま、不動産市場の前提そのものが書き換えられているのです。」
グローバル投資戦略・リサーチ責任者であるブライアン・クリンジックは次のように述べています。
「資本市場の安定とファンダメンタルズの強化を経て、グローバル不動産市場が抱える現在の課題は、次の回復を主導する市場とセクターを見極めることです。アジア太平洋地域はこうした際立った変化があり、その多様性は新たな不動産サイクルにおいて成果を生み出すであろう、戦略と資本配分のイノベーションの原動力となっています。」
ラサール不動産投資顧問株式会社について
ラサール インベストメント マネージメントは、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投資活動、負債性投資をしており、総運用資産残高は約885億米ドルです(2025 年第2四半期時点)。主要顧客は、世界の公的年金基金、企業年金基金、保険会社、政府関連、企業、その他基金(大学基金他)などで、世界中の機関投資家や個人投資家の資金管理を行い、セパレートアカウント型投資、オープンエンド型ファンド、クローズドエンド型ファンド、公募証券、エンティティレベル投資等の手法で投資を行っています。また、世界最大級の総合不動産サービス企業であるジョーンズ ラング ラサール グループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)傘下にあります。なお、ラサール不動産投資顧問株式会社は、ラサール インベストメント マネージメントのグループにおける日本法人です。詳しい情報は、https://www.japan.lasalle.com をご覧ください。
